トイレから処理・再利用までの全体像
人の健康と生活、環境を守るうえで、サニテーション(トイレ・排水・処理・資源循環)は欠かせません。
しかし、その仕組みや技術は地域や国によって大きく異なり、特に低・中所得国では限られた資源や条件の中で実用的な選択肢を組み合わせる必要があります。こうした多様な状況に対応するための整理された知識が Compendium of Sanitation Systems and Technologies に集められています。
本サイトは、Eawag – Swiss Federal Institute of Aquatic Science and Technology(スイス連邦水科学・技術研究所)の Department Water and Sanitation in Developing Countries (Sandec)(開発途上国における水とサニテーション部門)が発行する Compendium of Sanitation Systems and Technologies に基づき、低・中所得国(LMICs)で実証されたシステムと技術を、日本語でわかりやすく再構成して紹介します。
なお、本サイトでは Compendium of Sanitation Systems and Technologies を 「コンペンディウム」 と呼び、以降の解説や記事でもこの表記を用います。
また、このサイトは、発展途上国のサニテーション分野に関心を持つ方や、この領域を学び始めた初学者を主な対象としています。公衆衛生や国際協力、環境問題に興味を持つ学生や社会人にとって、学習の入口となることを目指しています。
このサイトで学べること
- 基礎用語の整理
「ブラックウォーター」「グレイウォーター」「バイオマス」など、サニテーションで用いられる専門用語を日本語で解説します。
→ [用語集ページ] - 技術の理解(U/S/C/T/Dの5分類)
トイレや貯留槽から、搬送・処理施設、最終利用までを5つの機能グループに分け、各技術を紹介します。
→ [テクノロジーページ] - システムとしての全体像
9種類の基本的なシステムを通じて、「どの技術をどう組み合わせるか」を俯瞰します。
→ [システムページ] - 学習の進め方
用語 → 技術 → システムの順に理解を深めることで、断片的な知識が全体像として整理されます。
サニテーションを構成する5つの機能グループ(概要)
サニテーションの流れは、以下の5つの機能グループに分けて整理されます。
- U User Interface(ユーザーインターフェース) – 利用者が直接触れる部分
- S Collection & Storage/Treatment (収集・貯留・処理) – 排泄物や排水を一時的に収集・処理
- C Conveyance(搬送) – 生成物を次の段階へ移送
- T (Semi-)Centralized Treatment(集中処理・準集中処理) – 集約された生成物を処理
- D Use and/or Disposal(利用・処分) – 処理後の生成物を利用または処分
👉 詳細な解説と技術一覧は [テクノロジーページ] へ。
システムの全体像(概要)
個別技術は組み合わせることで「システム」となります。
コンペンディウムでは代表的な9つのシステムが提示されています。
- システム1 – 単槽ピットシステム
- システム2 – 無水式ピットシステム(汚泥非生成型)
- システム3 – 簡易水洗ピットシステム(汚泥非生成型)
- システム4 – 無水式システム(尿分離型)
- システム5 – バイオガスシステム
- システム6 – ブラックウォーター浸透処理システム
- システム7 – ブラックウォーター処理システム(処理水搬送型)
- システム8 – ブラックウォーター搬送システム(集中/準集中処理施設向け)
- システム9 – 下水道システム(尿分離型)
👉 各システムの詳細や構成技術は [システムページ] で紹介します。