概要
水洗トイレは、多くの場合陶器で作られた、工場で大量生産される便器です。本サイトで紹介するテクノロジーのなかでは最も日本人に馴染みがあるはずです。便器の上部に設置された水タンクから水を流して排泄物を洗い流す仕組みです。水封(ウォーターシール)が備わっており、臭気やハエの逆流を防ぎます。利用者はレバーを押す、または引くことでタンクの水を放出し、排泄物を洗浄します。

仕組み
水タンクに貯えられた水がレバー操作によって放出され、便器内に流れ込みます。これにより排泄物が水と混ざり、配管を通じて流されます。水封は高度に設計されており、臭気の逆流を防ぎます。かつては1回流すのに20L近い水を使用していたものもありましたが、現代の水洗トイレでは1回あたり6〜9Lが一般的です。近年では3L程度で洗浄可能な低水量型もありますが、水量が不足すると複数回の洗浄が必要になる場合があります。
入力と出力
適用条件
水洗トイレは、公共施設や家庭で利用可能です。ただし、常時利用可能な水源と、ブラックウォーターを受け入れる収集・貯留/処理技術または搬送技術に接続されていることが必須条件です。現地で必要な部品や接続金具が入手できない場合には導入すべきではありません。
適用可能なシステム
- システム6
- システム7
- システム8
長所と短所
長所
- 利用者ごとに排泄物が洗い流されるため清潔である
- 水封により臭気の問題がほとんどない
- 座るタイプ・しゃがむタイプ、洗浄・拭き取りのいずれの習慣にも対応可能である
短所
- 建設コストが高く、運用コストは水の価格に依存する
- 常時利用可能な水源が必要である
- 現地で調達可能な材料や技能だけでは建設・修理できない場合がある
設計・運用上のポイント
- 水使用量は古い型で最大20L、現代型で6〜9L、節水型では3L程度と幅がある
- 水量が少なすぎると便器が十分に清掃されず、複数回の洗浄が必要になる場合がある
- 設置には熟練した配管工が必要であり、バルブや接続部を適切に密閉することが重要である
- 定期的に便器を清掃し、衛生状態を維持する必要がある
- 機械部品や付属品の修理・交換が必要となる場合がある
- 生理用品などは便器に流さず、別途回収することが推奨される
まとめ
水洗トイレは、快適で衛生的な便器として広く普及しています。水封によって臭気やハエを防ぎ、利用者にとって安心できる設備です。ただし、常時利用可能な水源と適切な収集・処理システムが不可欠であり、設置や維持管理にはコストや技能が求められるため、条件が整った環境で利用するのに適しています。
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