テクノロジー

分散型排水処理施設-DEWATS(Decentralised Waste Water Treatment System)の図

サニテーションシステムは、さまざまな技術(テクノロジー)の組み合わせによって構成されます。本ページでは、コンペンディウムに基づき、技術を U / S / C / T / D の5つのグループ に分類して紹介します。各技術名は個別ページ(投稿記事)へのリンクとなり、詳細情報にアクセスできます。


U:ユーザーインターフェース(User Interface)

ユーザーインターフェースとは、利用者がサニテーションシステムと接する部分を指し、トイレ、座るタイプの便器、しゃがむタイプの便器、小便器などが含まれます。つまり、サニテーションシステムにアクセスする入口です。

ユーザーインターフェースの最も重要な役割は、排泄物を衛生的に利用者から隔離し、糞便汚染への曝露を防ぐことです。技術的には大きく 水を使わない乾式技術(例:乾式トイレ、尿分離式乾式トイレ、小便器など)と、水を使用する水洗技術(例:しゃがむタイプの便器を用いた水洗式、座るタイプの便器を用いた水洗式、尿分離式水洗トイレなど)に分けられます。

技術選択には、以下の要素が影響します。

  • 洗浄に利用可能な水の有無
  • 利用者の習慣や嗜好(座る/しゃがむ、洗浄/拭き取り)
  • 高齢者や障害者などの特別なニーズ
  • 地域で調達可能な材料
  • 収集・貯留/処理や搬送といった後続技術との適合性

ユーザーインターフェースのテクノロジー


S:収集・貯留・処理(Collection & Storage/Treatment)

このセクションでは、ユーザーインターフェース(トイレなど)で発生した生成物を収集・貯留するための技術について説明します。

ここで紹介する技術の中には、処理を主目的とするものと、収集と貯留を主目的とするものの両方が含まれています。

後者の技術でも、貯留時間や条件によってはある程度の処理効果が得られます。
このセクションに含まれるテクノロジーは、多くが電力などの外部エネルギーを必要としない受動的な処理方式を採用しています。

また、ここで紹介する技術のうち4種類(S.4〜S.7)は、交互使用型のピットや地中槽です。これらは設計上、一定期間の貯留を前提としているため、病原体のリスクが低減し、手動による安全な汲み取りが可能になります。

収集・貯留・処理のテクノロジー

各地域の状況に応じた技術の選択は、一般的に次の要因に影響されます。

  • 設置可能な空間の有無
  • 土壌および地下水の特性
  • 投入される生成物の種類と量
  • 現地で入手可能な資材の種類
  • 得たい最終生成物の性質(例:コンポスト、処理水など)
  • 後段の搬送技術の有無
  • 財政的資源の状況
  • 維持管理体制や運営上の条件
  • 利用者の嗜好や受容性


C:搬送(Conveyance)

このセクションで紹介するテクノロジーは、ユーザーインターフェースや、現地での収集・貯留・処理によって発生した生成物を除去・搬送し、次の段階である「処理」、「利用」、「処分」へとつなぐためのものです。

搬送テクノロジー

大きく分けて次の2種類があります。

  • 下水道系技術(C.4〜C.6):配管網を通じて液体や混合物を輸送する方式
  • 容器搬送系技術(C.1〜C.3、C.7):人力または車両によって収集・輸送を行う方式

これらの技術の選択は、地域の条件やサービス体制によって異なります。主に次の要因が影響します。

  • 搬送する生成物の種類と量
  • 搬送距離
  • アクセスのしやすさ(道路状況など)
  • 地形(勾配や高低差など)
  • 土壌および地下水の特性
  • 財政的な資源の有無
  • サービス提供者の存在
  • 維持管理や運営上の考慮事項

T:集中処理・準集中処理( (Semi-)Centralized Treatment)

このセクションでは、主に地域レベルから都市レベルまでの準集中型・集中型用途に適した処理技術を紹介します。これらの技術は、より大きな処理量に対応できるよう設計されており、小規模な家庭用処理技術(Sグループ)と比べて、栄養塩・有機物・病原体の除去性能が高いのが特徴です。ただし、運転や維持管理、エネルギー消費の面では、小規模技術よりも高度な運用体制とコストが必要となります。

技術の分類

このセクションの処理技術は、対象とする汚水・汚泥の種類に応じて大きく2つのグループに分かれます。

  • T.1~T.12:ブラックウォーター、ブラウンウォーター、グレーウォーター、または処理水の処理技術
  • T.13~T.17:汚泥の処理技術

さらに、必要に応じて前処理および後処理の技術も併せて利用されます。

前処理(Pre-Treatment)

本処理(Treatment)

後処理(Post-Treatment)

  • POST.1 三次処理・ろ過・消毒(Tertiary Filtration and Disinfection)

D:利用・処分(Use and/or Disposal)

処理後の製品を再利用したり、環境に安全に戻す段階です。農業利用・エネルギー利用・最終処分が含まれます。

  • D.1 覆土/アルボルー(Fill and Cover/Arborloo)
  • D.2 貯留尿の施用(Application of Stored Urine)
  • D.3 脱水糞便の施用(Application of Dehydrated Faeces)
  • D.4 槽内腐植土/コンポストの施用(Application of Pit Humus and Compost)
  • D.5 汚泥の施用(Application of Sludge)
  • D.6 灌漑(Irrigation)
  • D.7 浸透ピット(Soak Pit)
  • D.8 浸透野(Leach Field)
  • D.9 養魚池(Fish Pond)
  • D.10 浮遊植物池(Floating Plant Pond)
  • D.11 水処分/地下水涵養(Water Disposal/Groundwater Recharge)
  • D.12 地表処分・保管(Surface Disposal and Storage)
  • D.13 バイオガス燃焼(Biogas Combustion)