概要
浸透野は、地中に埋設された有孔管のネットワークであり、砂利を敷き詰めたトレンチ(溝)を通じて、一次処理済みの処理水を地中に分散・浸透させる技術です。この技術は、収集・貯留/処理技術や(準)中央集約型処理技術で排出される処理水を処分するために使用されます。

仕組み
沈殿処理された処理水は、分水箱を介して複数の平行な経路に分配され、地下の土壌へと送られます。そうすることで、処理水が土壌を通過する際、吸着や微生物による分解が行われ、さらなる浄化が促進されます。また、加圧分配システムを導入すれば、浸透野の全域を均等に利用でき、散水の間隔を空けることで土壌の好気性条件を回復させることが可能です。
入力と出力
- 入力:処理水
- 出力:なし(土壌に浸透)
適用条件
- 良好な吸収能力を持つ土壌と、広大な土地面積が必要
- 土壌が飽和状態になりやすいため、人口密度の高い都市部には適さない
- 地下水位が高い場所や洪水が頻発する場所では機能が損なわれる恐れがある
適用可能なシステム
長所と短所
長所
- 排水の処理と処分を同時に行うことができる
- 適切に管理されれば耐用年数が非常に長い(20年以上)
- 機械装置を使わない場合、維持管理の手間がほとんどかからない
- 建設費や運用費が比較的安価
短所
- 目詰まりを防ぐために、事前の一次処理(S.9 浄化槽など)が不可欠
- 専門的な設計と建設が必要
- 広い面積を必要とする
- 地下水や土壌の特性に悪影響を及ぼす可能性がある
設計・維持管理のポイント
設計のポイント:各トレンチは深さ0.3〜1.5m、幅0.3〜1mで掘削されます。トレンチの底に約15cmの清潔な石を敷き、その上に有孔管を設置し、さらに石で覆います。そして、石の層の上にはジオテキスタイルを被せ、細かい土粒子が管に詰まるのを防ぎ、最後に砂や表土で地表まで埋め戻します。なお、飲用水源(井戸など)からは少なくとも30m以上離して設置しなければなりません。また、浸透野の前段にある収集技術(例:浄化槽 S.9)には下水道接続口を設けておくことが推奨されます。これにより、将来的に浸透野の交換が必要になった際、最小限の中断でシステムを切り替えることが可能になるからです。
維持管理のポイント:前段の一次処理施設が適切に機能していれば、メンテナンスは最小限で済みます。浸透野の上には、管を破損させたり土壌を固めたりするのを防ぐため、木を植えたり重い車両を走らせたりしてはいけません。もし、浸透効率が低下した場合は、管の清掃や交換が必要になります。
まとめ
浸透野は、処理水を広い範囲の土壌に分散させることで、環境への負荷を抑えつつ安全に還元する優れた処分技術です。浸透ピット(D.7)に比べて広い面積を必要としますが、その分、特定の場所への負荷が分散されるため、適切な土壌条件がある場所では非常に安定した排水管理手段となります。


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