汚泥を生成しない乾式ピットシステムの概要
このシステムは、交互に使用する2つのピットやコンポスト化槽を用いて、排泄物を腐植土(安定した土状の物質)に変える設計に基づいています。

特徴
- 洗浄水を使用しない乾式システムである
- 交互にピットを休止させることで、内容物を安全に掘り出せるレベルまで自然分解・乾燥させる
- 汚泥(し尿汚泥)を生成せず、代わりに農業利用に適した衛生的な物質を生成する
- 建設後、恒久的に同じ場所で使用し続けられるため、スペースの限られた密集地にも適する



入力生成物
このシステムで管理される主な生成物は以下の通りです。
5つの機能グループ別・使用テクノロジー
① ユーザーインターフェース (U)
水を使わない以下の技術が推奨されます。
- 乾式トイレ (U.1)
- 尿分離式乾式トイレ (UDDT, U.2)、尿の資源価値が高い場合に適用
- 男性用小便器 (U.3)
② 収集・貯留・処理 (S)
このシステムの核となる、排泄物を資源化するための貯蔵・処理施設です。
- 二槽式VIP (S.4)
- フォッサ・アルテルナ (S.5):短いサイクルで腐植土を作る二槽式ピット
- コンポスト化槽 (S.8)
これらの技術では、一つのピットが満杯になると蓋をして休止させ、その間にもう一つのピットを使用します。休止中のピット内では最低1年かけて分解が進み、病原菌が死滅して槽内腐植土やコンポストへと変化します。
③ 搬送 (C)
内容物が完全に安定した固形物であるため、機械による吸引ではなく手作業での搬送が行われます。
• 人力による汲み取り・輸送 (C.2):シャベル等を用いて手作業で掘り出し、運搬する
④ 集中処理・準集中処理 (T)
このシステムでは、収集・貯留の段階で物質が十分に安定化・衛生化されるため、この機能グループ(大規模な処理施設)を通す必要はありません。もし品質に懸念がある場合のみ、追加のコンポスト化処理を行います。
⑤ 利用・処分 (D)
最終的に生成された物質は、安全に再利用または処分されます。
- 槽内腐植土・コンポストの施用 (D.4):土壌改良材として農業や園芸に利用する
- 地表処分・保管 (D.12):利用しない場合の最終処分
※なお、このシステムではピット内の分解を妨げないよう、グレーウォーター(生活雑排水)は別途、浸透ピット (D.7) や 灌漑 (D.6) などで個別に管理する必要があります。
導入にあたっての考慮事項
- 水が不足している地域や、農業で土壌改良材が必要とされている地域に最適である
- バキューム車がアクセスできない狭い路地の先にある住宅でも導入可能である
- 成功の鍵は適切な運用にあり、排泄後に毎回、灰や土、有機物を投入して湿気と臭気を抑える必要がある
- 洪水が発生しやすい場所では、ピットを地上から高い設置するなどの対策が求められる
まとめ
システム2は、例えるなら「庭に2つのコンポスト容器を置き、交互に堆肥を作る方法」です。一つの容器がいっぱいになったら蓋をして1年間寝かせ、その間にもう一つの容器を使います。1年後、寝かせていた中身はバクテリアの力で安全で利用価値のある腐植土に変わります。したがって、家庭菜園の肥料として安全に使うことができます。バキューム車でドロドロの汚泥を吸い取ってもらう必要がなく、自分たちの手で管理を完結できる、無駄のないリサイクルシステムと言えます。


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