汚泥を生成しない簡易水洗ピットシステムの概要
このシステムは、簡易水洗トイレ(U.4)と二槽式ピット(S.6)を組み合わせた水洗式の衛生システムです。排泄物をピット内で長期間貯蔵・分解させることで、最終的に「槽内腐植土」と呼ばれる安定した物質に変えて利用することを目的とします。

特徴
- 簡易水洗トイレを使用する水洗式のシステムである
- 二つのピットを交互に使用し、内容物を少なくとも2年間休止させることで、安全に掘り出せる槽内腐植土に変化させる
- 液体分はピット壁から地中に浸透し、固形分のみが貯留・分解される
- 収集・貯蔵の段階で物質が十分に衛生化されるため、大規模な集中処理施設を通す必要がない
- 恒久的な利用が可能であり、新しいピットを掘り続ける必要がない



入力生成物
このシステムで管理される主な生成物は以下の通りです。
5つの機能グループ別・使用テクノロジー
① ユーザーインターフェース (U)
利用者が使用するトイレとして、水を利用する以下の技術が選択肢となります。
- 簡易水洗トイレ (U.4)
- 小便器 (U.3):追加で設置可能
② 収集・貯留・処理 (S)
このシステムの核心であり、浸透と分解を同時に行う貯蔵施設です。
• 二槽式ピット(S.6):簡易水洗トイレと接続する
一つのピットが満杯になると、もう一方の予備ピットに切り替えて使用します。満杯になったピットは蓋をして少なくとも2年間休止させることで、水分が抜け、病原菌が死滅して 槽内腐植土へと変化します。
③ 搬送 (C)
休止期間を経て安定化した生成物を、手作業で運び出します。
• 人力による汲み取り・輸送 (C.2):シャベル等を用いて手作業でピットから掘り出し、運搬する
④ 集中処理・準集中処理 (T)
ピット内での長期貯留によって物質が十分に安定化・衛生化されるため、この機能グループ(大規模な処理施設)を通す必要はありません。品質に懸念がある場合のみ、追加でコンポスト化処理が行われることがあります。
⑤ 利用・処分 (D)
生成された槽内腐植土と、ピットから染み出した浸出液(処理水)を適切に処理します。
- 槽内腐植土の施用 (D.4) または地表処分・保管 (D.12)
- 浸透ピット (D.7)、灌漑 (D.6)、または放流/地下水涵養 (D.11):浸出液(処理水)の管理
導入にあたっての考慮事項
- 浸出液を継続的に吸収できる適切な土壌がある地域に適する
- 地下水汚染のリスクがあるため、地下水面が高い場所や付近に井戸がある場所での設置には注意を要する
- 洪水が発生しやすい場所では、ピット内での乾燥・分解プロセスが妨げられるため推奨されない
- 乾式清浄材は配管の詰まりやピット内での浸透を妨げる恐れがあるため、可能な限り別途収集して処分することが望ましい
まとめ
システム3は、例えるなら「水が抜ける底の抜けたゴミ箱を2つ用意して、交互に使いながら堆肥を作る方法」です。一つのゴミ箱がいっぱいになったら、水が抜ける仕組みを利用して水分を逃がしつつ、2年間じっくり寝かせます。その間はもう一方のゴミ箱を使います。2年経つ頃には、中身は微生物の力で「きれいな土」に生まれ変わっており、これを家庭菜園などの肥料として安全に使うことができます。水洗トイレの快適さと、バキューム車に頼らないリサイクル機能を両立させた、非常に合理的な仕組みと言えます。


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