尿分離型無水式システムの概要
このシステムは、尿と糞便を分離して収集・貯留することで、糞便を脱水(乾燥)させ、尿を有益な資源として回収するように設計されています。洗浄水(水洗水)を一切使用しないのが大きな特徴です。

特徴
- 尿と糞便を混ぜずに分離して収集する
- 糞便を脱水処理することで容積を約75%減少させ、多くの病原体を死滅させる
- 回収した尿は窒素などの栄養価を豊富に含むため、優れた液体肥料として利用可能である
- 岩盤が多く穴を掘るのが難しい場所や、地下水面が高い地域、水が不足している地域に適する



入力生成物
このシステムで管理される主な生成物は以下の通りです。
5つの機能グループ別・使用テクノロジー
① ユーザーインターフェース (U)
利用者が使用するトイレの部分として、以下の技術が選択肢となります。
- 尿分離式乾式トイレ (U.2):尿と糞便を分離して収集する主要なインターフェース
- 小便器 (U.3):尿の効率的な収集と、トイレ本体の誤用を防ぐために併設が推奨される
② 収集・貯留・処理 (S)
分離された生成物は、それぞれ専用の施設で貯蔵・処理されます。
- 脱水槽 (S.7):糞便を貯留する二つの槽であり、灰、土、石灰などを投入して乾燥と衛生化を促進する
- 尿貯留タンク/容器 (S.1):尿を一定期間貯留することで、尿をほぼ無菌状態にまで衛生化する
③ 搬送 (C)
貯蔵期間を経て安全になった物質を運び出す技術です。
- 人力による汲み取り・輸送 (C.2):十分に乾燥した糞便をシャベルなどで手作業により掘り出し、搬送する
- ポリタンク (C.1):比較的小規模な尿の運搬に使用する
- 機械による汲み取り・輸送 (C.3):貯留された尿をバキューム車などで大量に搬送する
④ 集中処理・準集中処理 (T)
このシステムでは、収集・貯留の段階で物質が十分に安定化・衛生化されるため、通常は大規模な処理施設を必要としません。ただし、乾燥糞便の品質に懸念がある場合は、農地利用の前に専門の施設で追加のコンポスト化処理が行われることもあります。
⑤ 利用・処分 (D)
最終的に資源として再利用、または安全に環境に戻す方法です。
- 脱水糞便の施用 (D.3):乾燥した糞便を土壌改良材として農地などで利用する
- 貯留尿の施用 (D.2):高い窒素成分を含む尿を液体肥料として農業に利用する
- 地表処分・保管 (D.12)、浸透ピット (D.7) 、または放流/地下水涵養 (D.11) :利用しない場合の処分
導入にあたっての考慮事項
- 尿と糞便を確実に分離して収集するため、利用者の正しい使用方法の習得と受け入れが不可欠である
- 脱水槽に水や尿が混入すると悪臭や病原菌の繁殖を招くため、槽内を常に乾燥状態に保つ必要がある
- グレーウォーターは、脱水プロセスを妨げないよう別途の浸透ピットなどで個別に管理しなければならない
- 糞便を覆い、湿気と臭気を抑えるための灰や土などの被覆材を常に供給し、使用後に毎回投入する必要がある
まとめ
システム4は、例えるなら「生ゴミと資源ゴミを最初から分けて捨てるリサイクルボックス」です。生ゴミ(糞便)には灰をかけてカラカラに乾かして無害な「土」に変え、資源ゴミ(尿)は「液体肥料」として畑で活用します。水を使わず「最初から混ぜない」ことで、ブラックウォーターを生成せず、すべてを価値ある資源に変えてしまう、環境に優しく非常に賢い仕組みと言えます。


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