尿分離型下水道システムの概要
このシステムは、尿分離式水洗トイレ(UDFT, U.6)と下水道ネットワークを組み合わせた水ベースの衛生システムです。ユーザーインターフェースにおいて尿を個別に分離し、残りのブラウンウォーター(糞便と洗浄水)およびグレーウォーター(生活雑排水)を下水道を通じて集中処理施設へと搬送することを特徴としています。尿を発生源で分離して資源として回収することで、集中処理施設における栄養塩負荷を軽減することが主な目的です。

特徴
- 尿を分離回収することにより、高濃度の窒素を含む液体肥料として農業利用が可能である
- 集中処理施設に流入する栄養塩の負荷を低減し、既存施設の処理プロセスを最適化できる可能性がある
- 従来の集中型下水道と同様の利便性をユーザーに提供しつつ、資源循環の要素を統合している
- 下水道インフラの利用が前提となるため、高密度の都市部や都市周辺部における導入に適している



入力生成物
このシステムでは、以下の生成物が管理対象となります。
5つの機能グループ別・使用テクノロジー
① ユーザーインターフェース (U)
尿とブラウンウォーターを分離排出するための専用技術を使用します。
- 尿分離式水洗トイレ (U.6):尿を水なし、あるいは少量の水で個別に回収する
- 小便器 (U.3):尿の効率的な回収を助ける
② 収集・貯留・処理 (S)
尿のみが現場で貯留され、ブラウンウォーターはそのまま下水道へ送られます。
- 尿貯留タンク/容器 (S.1):分離された尿を一時貯留し、病原体の自然死滅(衛生化)を待つ
③ 搬送 (C)
生成物の物理的性質に応じて異なる搬送技術が用いられます。
- ブラウンウォーターおよびグレーウォーターの搬送:簡易下水道 (C.4)または従来型重力式下水道 (C.6)
- 貯留された尿の搬送:ポリタンク (C.1) または機械による汲み取り・輸送 (C.3)
④ 集中処理・準集中処理 (T)
搬送された廃水と、処理過程で発生する汚泥はそれぞれ専門の施設で処理されます。
- 下水の処理:T.1からT.12の技術(安定化池、人工湿地、散水ろ床、活性汚泥法など)を組み合わせて処理する
- 汚泥の処理:T.13からT.17の技術(沈殿・濃縮池、乾燥床、混合コンポスト化など)で処理する
⑤ 利用・処分 (D)
浄化された生成物は環境に還元されるか、資源として再利用されます。
- 回収された尿の利用:貯留尿の施用 (D.2)
- 処理済み水の利用・処分:灌漑 (D.6)、養魚池 (D.9)、浮遊植物池 (D.10)、または放流/地下水涵養 (D.11)など
- 処理済み汚泥の利用・処分:施用 (D.5) または地表処分・保管 (D.12)
導入にあたっての考慮事項
- 分離された尿に対する農業的な需要があること、または節水型の尿分離トイレによる水消費の抑制が必要な地域に適している
- 尿用とブラウンウォーター用の二系統の配管を設置するため、高度な施工技術と精密な配管設計が要求される
- 下水道ネットワークが高い水密性を備えていれば、地下水面が高い地域でも導入可能だが、管路からの漏出や浸入を確実に防ぐ必要がある
- 尿分離式水洗トイレ(UDFT, U.6)は一般的ではなく、製品の選択肢が限られているため、初期投資費用が高額になる傾向がある
- システムの持続性は、利用者が建設費や維持管理費用を支払う能力と意思を持っていることに依存する
- 処理施設が過小負荷(アンダーロード)の状態にある場合、尿を分離することでさらに下水が希釈され、処理プロセスに悪影響を及ぼす可能性があるため事前の評価が必要である
まとめ
システム9は、オンサイトでの資源回収とオフサイトでの集中管理を高度に融合させた衛生アプローチです。尿を発生源で分離することにより、下水処理場における窒素やリンの除去負担を大幅に軽減し、同時に貴重な栄養資源を直接的に農地へ還流させることができます。一方で、複雑な室内配管と下水道インフラの両方を維持する必要があるため、導入には長期的かつ安定した専門的な運用管理体制が不可欠です。

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