概要
散水ろ床は、ろ材表面の微生物の膜(生物膜、バイオフィルム)で汚水を浄化するシステムです。 最大の特徴は、酸素を好む微生物が好気的な条件下で汚れを分解する点にあります。 また、人工湿地(T7, T8, T9)と比較して、より狭い土地に設置できることも大きな利点です。

仕組み
まず、一次処理を終えた汚水をろ材の表面にまんべんなく散布します。 次に、汚水がろ材の間を通り抜ける際、微生物が汚れを分解します。 さらに、ろ材の隙間を空気が通ることで、微生物に酸素を供給します。 その結果、新しい微生物が育ち、汚水の浄化プロセスが継続されます。 最後に、剥がれ落ちた生物膜は後段の沈殿槽で丁寧に取り除かれます。
入力と出力
適用条件
散水ろ床を導入する際は、以下の条件に注意します。
- 前処理の必須性: 目詰まりを防ぐため、事前の沈殿処理が不可欠です。 具体的には、浄化槽などで固形物をあらかじめ取り除く必要があります。
- 電力と供給: 散布装置を動かすため、安定した電力供給が必要です。 また、生物膜を維持するために、絶えず汚水を供給しなければなりません。
- 設置環境: ハエや臭いが発生しやすいため、住宅地から離して設置します。
- 管理体制: 装置の修理や監視を行う、熟練した技術者が求められます。
適用可能なシステム
長所と短所
長所
- 汚水の量や濃度の変動に対して、比較的強い耐性がある
- アンモニアの硝化効率に優れている
- 土地面積が限られた場所でも、効率よく設置が可能
短所
- 建設コストが、他の自然浄化技術よりも高い
- 熟練したスタッフによる、高度な維持管理が必要となる
- 常に電力が必要なため、ランニングコストが発生する
- ろ床内にハエやカタツムリが発生し、詰まりや処理性能低下などの原因となる
設計・運用上のポイント
設計のポイント: ろ材には、砕石や砂利、または特殊なプラスチックが使われます。 ろ材の層は、通常1〜2.5メートルの深さで構築するのが一般的です。 また、空気が十分に通るよう、底部の排水構造を工夫する必要があります。 さらに、処理効率を高めるために、処理水の一部を循環させる設計も有効です。
運用・維持管理のポイント: 目詰まりを防ぐため、定期的にろ材を洗浄(逆洗)してください。 散布パイプの回転やポンプの動作は、毎日点検することが望ましいです。 あわせて、ハエの発生を抑えるために、定期的にろ床を水で満たす処理も有効です。
まとめ
散水ろ床は、高い浄化能力を持つコンパクトな生物処理システムです。 特に、限られた土地で効率よく硝化処理を行いたい場合に適しています。 ただし、安定稼働には電力と専門的な管理が欠かせない点には注意が必要です。
引用
アイキャッチ画像の出典: Sustainable Sanitation Alliance (SuSanA) Secretariat
/ CC BY 2.0


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