T.11 UASB(上向流嫌気性汚泥ろ床)

産業用排水処理施設にある大型UASB(上向流式嫌気性汚泥床)リアクターの屋外写真。錆や汚れが見られる背の高い円筒形のタワーが中央にあり、側面には多数の配管が接続されている。タワーの上部には黄色い手すりがついたアクセス階段とプラットフォームがあり、頂上にはガス回収用のドーム状構造物が見える。周囲には他のタンク、配管、ポンプ、バルブが配置され、地面は砂利敷きである。背景には緑の木々や建物があり、空は青く白い雲が浮かんでいる。 準集中処理・集中処理

概要

UASBは、汚水を槽の底から上方向へ流して浄化する単一槽のプロセスです。 汚水は、微生物の層である「汚泥ろ床」の中を通過します。 このろ床が汚水をろ過し、有機物を分解・処理します。 浄化槽よりも小さな容積で、より高い水質の処理水を得ることが可能です。

仕組み

まず、汚水を槽の底部から均一に注入し、上昇流を発生させます。 その際、微生物が有機物を分解し、メタンなどのバイオガスが発生します。 次に、発生した気泡が上昇する力を利用して、機械なしで槽内を攪拌します。 さらに、数週間運用すると微生物が粒状(グラニュール)に成長します。 この粒がフィルターとなり、小さな浮遊物質を効率よく捕捉します。また、グラニュールは自重により、上昇流に流されず槽内に留まります。 最後に、処理水が上部から排出され、ガスはドームで回収されます。

入力と出力

適用条件

UASBの導入には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 一定の速度で汚水を送り込むため、安定した電力供給が不可欠である
  • 微生物の粒が形成されるまで、数ヶ月の立ち上げ期間が必要となる
  • 汚水の負荷変動に弱いため、専門知識を持つ技術者の配置が求められる
  • 寒冷地では効率が落ちるため、温暖な地域での導入が望ましい
  • 処理水には病原体が残るため、後段でのさらなる処理や消毒を必要とする

適用可能なシステム

長所と短所

長所

  • BOD(生物化学的酸素要求量)の除去率が高い
  • 高い有機物負荷および水力学的負荷に耐えることができる
  • 汚泥の発生量が少なく、汚泥引き抜きの頻度を低く抑えられる
  • バイオガスをエネルギーとして利用できる(ただし通常は前処理が必要)

短所

  • 水圧や有機物負荷の変動に対し、処理が不安定になる可能性がある
  • 熟練した人員による運用管理が必要である
  • システムの立ち上げに長い期間がかかる
  • 継続的な電力供給が必要となる
  • すべての部品や資材が現地で調達できるとは限らない
  • 専門的な設計と施工が不可欠である
  • 処理水と汚泥には、さらなる処理や適切な処分が必要

設計・運用上のポイント

設計のポイント: 汚水を均一に広げる分配システムと、ガス・固形分の分離装置が重要です。そして、汚泥ブランケットを浮遊させるため、適切な上昇速度を維持します。

運用・維持管理のポイント: 専門のオペレーターが、ポンプや各装置の動作を定期的に監視します。また、余剰汚泥の引き抜きは、通常2〜3年に1回程度の頻度で行います。

まとめ

UASBは、高い浄化能力とエネルギー回収を両立させた先進的な技術です。 特に、土地が限られた都市部や、一定の汚水が出る産業施設に適しています。 しかし、安定稼働には専門的な管理体制が必須です。

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