概要
覆土式トイレ(またはアルボルー)は、満杯になったピットを土で覆い、その場所を閉鎖または植樹に利用する技術です。単にピットを廃止する「覆土(Fill and Cover)」と、栄養豊富なピットの跡地を積極的に利用して樹木を育てる「アルボルー(Arborloo)」という2つの側面があります。この手法により、排泄物を安全に封じ込めつつ、自然に分解させることができます。

仕組み
アルバルーの場合、まず深さ約1mの浅いピットを掘ります。使用のたびに、カップ1杯の土や灰、あるいはその混合物を投入して排泄物を覆い、臭気の抑制とハエの繁殖防止を図ります。ピットが満杯(地上から15cm程度まで)になったら、残りの空間を土で埋め、その上に樹木を植えます。樹木の根は成長とともにピット内の養分を吸収し、排泄物を肥沃な土壌へと変えていきます。一方、通常の覆土では、満杯になったピットを土で密閉して放置します。
入力と出力
適用条件
- 常に新しいピットを掘り続けるための十分な土地面積がある
- ピットのし尿を引き抜き、処理する適切な技術やサービスが存在しない
- 農村部、周辺都市部、および十分なスペースがある高密度地域に適している
- アルボルーの場合、樹木が育つのに適した土壌条件である必要がある
適用可能なシステム
長所と短所
長所
- すべての利用者にとって適用が極めて簡単な技術である
- 建設や維持管理に要する費用が非常に安い
- 適切に覆土を行うことで、病原体の伝播リスクを低く抑えられる
- 植樹や果実の生産を通じて、収入創出につながる可能性がある
- 移動可能な上部構造を使用することで、ピットの切り替えが容易になる
短所
- ピットが満杯になるたびに新しい穴を掘る必要があり、古いピットの再利用はできない
- 地下水汚染のリスクを完全に排除できるわけではない
設計・運用上のポイント
設計のポイント: アルボルーのピットは深さ約1mの浅い設計とし、樹木の根が周囲に広がりやすくするため、ピットの内壁にライニング(裏打ち)を施さないことが一般的です。植える樹木には、バナナ、パパイヤ、グアバなどが適しています。ピットの場所を選ぶ際は、家屋からの距離や、将来的に樹木が成長するためのスペースをあらかじめ計算に入れておかなければなりません。
運用・維持管理のポイント: 運用中は、排泄物の山が円錐状に盛り上がるのを防ぐため、定期的に内容物を平らにならす作業が行われます。ピットを閉鎖した後は、植えた苗木が動物に荒らされないよう、棒や袋で小さな囲いを作って保護します。水が不足している地域では、雨季を待ってから植樹を行うのが効果的です。
まとめ
覆土式トイレは、排泄物を物理的に隔離し、時間の経過とともに自然の循環へ戻す、最もシンプルで低コストな衛生管理手法の一つです。特にアルボルーは、廃棄物を有益な資源に変え、地域の緑化や食料生産に寄与する資源循環型の側面を持っています。ただし、継続的に土地を確保する必要がある点や、地下水への影響については、現地の状況に応じた慎重な判断が必要です。
参考サイト
タンザニアの農村部で、し尿を栄養豊富な堆肥に変え、果樹を育てる「アルボルー」の取り組みが紹介されています:https://majisafigroup.org/the-arborloo-toilet


コメント