概要
養魚池は、処理水や汚泥を受け入れる池で魚を飼育し、排水に含まれる栄養分を回収する技術です。魚は栄養豊富な水の中で育つ藻類やその他の生物を食べて成長し、最終的には食用や飼料用として収穫されます。このプロセスにより、排水から栄養分が除去されると同時に、経済的な価値が創出されます。

仕組み
養魚池には主に3つの形式があります。
- 処理水による施肥: 二次処理を終えた処理水を池に導入する
- 排泄物・汚泥による施肥: 適切に処理された汚泥や排泄物を池に導入する
- 好気性池での直接飼育: 汚水安定化池(T.5)や曝気池(T.6)で直接魚を育てる。
魚は藻類を食べることで水質浄化に寄与するだけでなく、藻類の過剰繁殖を抑え、蚊の発生を抑制する効果もあります。理想的な条件下では、1ヘクタールあたり年間最大10,000kgの魚を収穫できます。
入力と出力
適用条件
- 十分な土地と淡水源があり、暖かい熱帯・亜熱帯気候であること
- 気温が氷点下になる地域には適さない
- 魚の毒性となるアンモニウム濃度を低く保てる条件が必要である
- 収穫された魚の消費や、排泄物由来の資源利用に対する社会的受容性がある地域
適用可能なシステム
長所と短所
長所
- 安価で身近なタンパク質源を提供できる
- 収穫した魚の販売により、処理施設の運営コストを相殺し、雇用を創出できる
- 現地の資材で建設・維持が可能である
短所
- 大量の淡水と広大な土地を必要とする
- 専門的な設計と設置が求められる
- 調理が不十分な場合、健康リスクが生じる恐れがある
- 地域によっては、下水由来の魚に対する心理的抵抗がある
設計・維持管理のポイント
設計のポイント: 池を好気性状態に保つため、BOD負荷は1日あたり1㎡につき1gを超えないようにし、溶存酸素(DO)は4mg/L以上を維持します。なお、飼育する魚種は、低酸素状態に強く、病気や環境変化に耐性のある非肉食性の淡水魚(コイ、ティラピアなど)が推奨されます。次に紹介する、浮遊植物池(D.10)と組み合わせることも可能です。
維持管理のポイント:魚が適切な大きさに成長した段階で収穫を行います。そして、収穫後には、池の水を抜いて堆積した汚泥を除去し、さらに1〜2週間ほど天日干しにすることが重要です。このプロセスにより、池の底面や側面に残存する病原体を効果的に死滅させることができます。し尿由来の資源を扱うため、作業員は病原体との接触による健康リスクを避けるよう、適切な保護具を着用して作業にあたる必要があります。また、食用としての公衆衛生を確保するためには、収穫した魚を消費する数週間前に、きれいな水の池に移して「泥抜き」を行うことが望ましいとされています。
まとめ
養魚池は、排水に含まれる栄養分を価値あるタンパク質へと変え、生産性の高い資源循環技術です。適切な管理と衛生的な調理を前提とすれば、水質浄化と食料安全保障の両立に大きく貢献できます。


コメント